葬儀は、人生において何度も経験するものではありません。そのため、葬儀の何が大変で、何が大切なのかを知らないかたが多いでしょう。急にやってくる葬儀だからこそ、知識を持っておくことで対応できることがあります。葬儀は人生で一番大事な儀式といえます。そこで今回は葬儀社が知る、葬儀の大変さと大切さについて説明します。
目次
葬儀とは急にやってくるもの
葬儀は予告があって開催される儀式ではありません。急に親族の誰かが亡くなったとしたら、誰しもが正常を保っていられないでしょう。急に大切な人が亡くなり、今まで笑っていた顔が見られなくなる、というものは寂しく感じるものです。
しかし、葬儀は避けては通れない儀式です。今まで生きてくれたことに感謝し、故人に感謝の言葉や悲しみを伝えるための儀式でもあります。
葬儀において大変なこと
「葬儀は大変そうだ」と感じる人はいるでしょうが、具体的に何が大変かを知っている人は、ほとんどいません。葬儀会社で働いているとわかるのですが、葬儀では、予想もしていなかった事態が起こってしまうこともあります。では実際に、葬儀社で働いているからこそ知る、葬儀の大変さについて説明します。
葬儀の金額決め
金額の決定が、葬儀において一番大変だといっても過言ではありません。葬儀とはピンからキリまで金額を上げ下げできます。とにかく豪華にすることもできますし、質素にしたいということなら最小限のサービスでおもてなしすることもあります。
ただ、どこを削って何を重視するかは家庭によってさまざまです。例えば「料理を重視して祭壇のサイズを小さくする」、「お花をいっぱい飾りたいから人数を減らすために家族葬でする」という人もいます。どれだけの想いを葬儀にかけるかによって金額は大きく変化します。
名札の順番決め
葬儀となると、周りからお供え物として供花や盛り篭が送られてくることがあります。その際に気をつけなくてはいけないのが、名札の順番です。名札にも並べ方があり、亡くなった人に一番近しい人から順番に並べていくのが一般的です。
もし間違って親族の名前や会社の名前などの順番を間違ってしまうと、後々のトラブルのもとになりかねません。しっかりと親族と相談しながら決めなくてはいけないので、細心の注意を払う必要があります。
お寺へのお布施
お布施とは、僧侶に読経をしてもらう代わりに、対価として支払うお金になります。亡くなった人が無事にあの世に行けるように、とお経を読んでもらうので、親族はしっかりと感謝の気持ちをお寺に伝えなくてはいけません。
なかには10~20万円のお布施ですむところもありますが、宗派によっては40~50万円というお布施を払わなくてはいけないお寺もあります。どれくらいの金額を支払うかはお寺に聞いても教えてくれないことが多いので、葬儀のスタッフや親族に相場を聞くことが多いです。
親族への配慮・料理手配
親族への配慮や料理の手配なども、気を遣わなくてはいけません。葬儀に対して協力的なら問題ないのですが、もてなされるのが当たり前と考える親族もいます。昔の風習を今でも持ち込む親族がいると、故人の家族は大変な思いをすることも。どれだけ周りを巻き込んで協力してもらうかが大切になってきます。
来てくれた人への挨拶
一番神経を使うのが、来てくれたかたへの挨拶になります。会社の上司をはじめ、昔からの知り合い、友人、近所のかたなど、来るかたはさまざまです。少しでも感謝の気持ちを伝えておかなくては、今後のつき合い方が変わってしまうこともあるのでとても重要です。
故人の印象を変えないように、できる限り誠心誠意挨拶をされるかたがほとんどです。感謝の言葉を聞いた人のなかには、そこで初めて「あの人が亡くなったのか」と実感する人もいます。それだけ挨拶とは重要なのです。
遺産相続
葬儀が終わっても、その後大変なのが遺産相続です。遺産に関してのトラブルは必ずといっていいほど起こってしまうので、葬儀前から遺産のことについて話し合う親族もいます。「亡くなっている人の前で遺産の話なんて。」と考える人もいるでしょうが、これが現実です。
故人の生前に遺産をどうするかなどの話をしっかりしておけば、このようなトラブルは起こりません。終活という言葉も出てきているぐらいなので、死後のトラブルをつくらないように話し合いをしておくことが大切です。
葬儀の大切さとは
これまで大変な部分ばかりをあげてきましたが、葬儀は大切な儀式でもあります。葬儀のあいだ、色々なことを考えさせてくれることが多いのです。ここでは葬儀社が語る、葬儀の大切さについて説明していきます。
亡くなった人を思い出すことができる
亡くなった人を一番思い出せるのが、葬儀の瞬間です。僧侶が読経をしているときや、お通夜が終わって落ち着いたときなどに、今までの思い出がフラッシュバックします。どんな思い出があったか、何をしてきたかを思い出すことができるでしょう。
どれだけ愛されていた人かが知れる
葬儀を行うと、人によっては会葬者がたくさん来ます。たくさん人が来れば来るほど、今まで世間に貢献してきたという証拠になり、色んな人に愛されていたかがわかります。なかには会葬者の人数を見て、驚く親族のかたもいらっしゃいます。
亡くなった本人がどれだけ人望があったかなど、意外と知らないという家族も結構いらっしゃいます。初めてどれだけ愛されていたのかを知る、とても大切な時間でもありますね。
感謝の気持ちを伝えることができる
普段恥ずかしくて言えなかった感謝の言葉を、亡くなった事によって初めて伝えられることもあります。「生きていてくれてありがとう」「育ててくれてありがとう」「今まで本当にありがとう」など、感謝の言葉とはさまざまでしょう。
亡くなったことにより、自分に正直になるので、葬儀とは大切な儀式であるということが分かります。
まとめ
葬儀とは大変な反面、大切な儀式になります。人によってはつらい思い出と感じる人もいるでしょうが、しっかりと向き合うことでよい思い出と感じる人もいます。これらの違いは、どれだけ「亡くなった」という事実に向き合うかで変化していきます。
葬儀をこれから経験するかもしれないかたは、大変さを理解しつつ葬儀の大切さも感じ取ってもらいたいと思います。葬儀を通して死と向き合うことで、考え方が大きく変化するはずです。