愛する人を失ったことで受ける悲しみは、人生で起こるできごとの中でもとても大きなものです。葬儀で喪主になった場合、なかなか気持ちの整理などできるものではなく、体調を崩してしまうかもしれません。大切な人の死を受け入れ、自身がこれからの人生を前向きに歩んでいくために、葬儀で喪主になったときに休める体制をつくるコツや死別から立ち直る方法を紹介します。参考としてお役立ていただければ幸いです。
目次
葬儀で少し心や体を休める体制をとるコツ
愛する人が亡くなった場合、葬儀ではやらなくてはならないことが多岐にわたります。ゆっくり故人の思い出に浸る心の余裕もなく、また心ない人の言葉で疲れてしまうこともあるでしょう。そのため、体調や気分がすぐれないときに備え、少し休めるぐらいゆとりのある体制を整えておくと安心です。
葬儀は年齢が近い人や親しいつき合いの兄弟姉妹を中心に、遺族や親族で分担して進めていきましょう。きっと、あなたが悲しくて辛い場面でふさぎ込んでしまったときには、代わりに接客や親戚への対応を助けてくれるはずです。
もし、そのような身内や頼れる人がいない場合には、お通夜や葬儀当日の葬儀社スタッフを多めに手配して、前もって打ち合わせを十分にしておきましょう。
死別の悲しみから立ち直る5つの方法
人は死別などによって大切な人を失うと、大きな悲しみである「悲嘆(グリーフ/GRIEF)」を感じます。グリーフは私たち人間が経験するなかでも最も強烈な経験のひとつです。その衝撃に対処し、乗り越えていくためには、正しい知識や努力、長い時間を必要とします。
そこで、グリーフと上手につき合っていくために大切なことを5つ紹介します。
1.苦悩や苦痛を吐き出す
グリーフのプロセスにおいて、気持ちを表現することはとても重要です。
「突然、泣けてくる」「イライラする」「何もする気が起こらない」など、自分の心にあふれてきた感情をそのまま感じて、受け入れるようにしましょう。
また、悲しみは自分のなかに押しとどめず、どんどん外に吐き出しましょう。グリーフで一番やってはいけないことは悲しみ、嘆くことを我慢し、それを自分のなかに抱え込むことです。吐き出せなかった気持ちはやがて体の中で淀みとなり、心身を内側から壊していきます。
泣くことも大切です。涙には大きな癒し効果があり、悲しみを追い出すことに、もっとも有効な方法です。
嫌な気持ちが浮かんできても、それを無理に忘れたり矯正しようと思う必要はありません。喜怒哀楽、さまざまな感情になるのはごく一般的なことで、グリーフの自然な反応なのです。いまは自分に素直に優しくすることを優先しましょう。
2.しっかり悲しむ
私たちは「寂しい・苦しい」気分になることを恐れ、暴飲暴食やアルコール、ギャンブルといった刺激の強いものに頼って自分の気持ちをごまかそうとします。ほかにも仕事や勉学、趣味に熱中しすぎるなど、一見すると問題に見えない行動も、寂しさを紛らわすための代償行動となっていることがあります。
もちろん、好きなことや仕事に夢中になって、達成感や充足感を得るのは、心と体が健康になるためには必要なことです。
しかし、悲しんだり落ち込んでしまわないように何かに熱中すると、悲嘆の感情を抑圧しているだけで、グリーフワークを長引かせてしまったり、悲しみを増幅させてしまい、かえって心身のバランスを崩してしまいます。
一般的には悲しみ、怒りなど、ネガティブな感情はよくないものとされていますが、心の回復・ケアのためには、しっかり悲しんだり、落ち込む気持ちを感じることも大切です。
3.周囲に積極的にサポートを求む
グリーフになっているとき、周囲の協力は欠かせません。しかし、周りの人はどのようにあなたをサポートしていいか迷うことも多いでしょう。あなたが活力を失っているとき、周囲の人たちも悩んでいるのです。そのため、あなたから具体的にどうしてほしいのか、それを素直に伝えましょう。
たとえば、じっくり話を聞いてほしい、法事や法要の準備を手伝ってほしい、家の片づけや身の回りのことを手伝ってほしい、などです。あなたが今なにを必要としているのかがわかれば、周りの人もサポートしやすくなりますよ。
4.同じような経験をした人と繋がりをもつ
遺族会などのサポートグループに参加して、同じような喪失体験をした人に話を聞いてもらうことで救われたという人が多くいます。インターネットで「遺族 自助グループ」など検索すれば、多くの団体が見つかるはずです。
配偶者を亡くした人、子どもを亡くした人など、当事者にしかわからない気持ちや感情というものは、どうしてもあるものです。人との繋がりは、きっと悲しみを癒す助けとなるでしょう。
5.ときには専門家に頼る
ときには専門家の手助けを求めることも大切です。
たいていのグリーフは月日が経つごとにだんだん心が穏やかになっていきますが、自殺や他殺、地震や津波など自然災害などによる死別の場合、そのグリーフはとても複雑なプロセスをたどることがあります。
時間が経ってもなかなか症状が改善されない場合は、できるだけ早く専門家の助けを求めてください。
近年ではメールや電話で気軽にカウンセリングを受けることもできるので、あまり難しく考えず、気楽に利用してみましょう。
まとめ
葬式で喪主になった際に休める体制をつくるコツや死別を立ち直る方法について紹介しました。
亡くなった方のことを、心のなかでどのように整理しなければいけないのか考えることは、今後生きていくうえでも大切なことです。
悲しみはしっかり感じて、自分自身の感情を受け入れましょう。早く回復しなければ、と焦る必要はありません。
また、事情が許す限り、できるだけ休憩を取りましょう。好きなものを食べ、好きなことをして、ゆったり生活します。気が合う友人と、温泉などに行くのもいいかもしれません。心身ともに、リラックスさせることが大事です。
そして苦しい時にはひとりで抱え込まないようにして、家族や友人など周囲の人に頼ってみてください。