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エンバーミングとはなにか?

エンバーミングの費用や流れについて解説します

エンバーミングの費用や流れについて解説します

葬祭業界歴約20年、葬祭ディレクターの小川竜雲です。エンバーミングという言葉を聞いたことがありますでしょうか。葬儀のとき、故人に対して最期にしてあげられる限られたことのなかで、エンバーミングを希望されるご家族もいらっしゃいます。エンバーミングを依頼されたご家族の多くは、感激され喜んでくださっているようです。一方で、エンバーミングは葬儀のなかでオプション的なサービスとなり、それなりの費用もかかります。今回は、エンバーミングの意味、費用、流れなどについて解説します。

エンバーミングとは?

亡くなられたかたの身体は、悲しいことですが時間とともに腐敗が進んでいきます。また、乾燥などにより見た目も変わっていきます。

エンバーミングとは、エンバーマーと呼ばれる専門技術者が行う、遺体に対する特殊な処置のことをいいます。この特殊な処置は、遺体の保存、防腐、殺菌、修復を目的として行われます。エンバーミングは日本語で「死体防腐処理」や「遺体衛生保全」などと訳されます。

エンバーミングでは、まず遺体の消毒・殺菌を行い、そして遺体の一部を切開し血液などの体液を排出するとともに防腐剤を注入します。また、胃や腸など消化器官、気道など呼吸器官の残存物の除去も行われます。遺体の状態によっては損壊部分の修復もされます。

エンバーミングはもともと土葬が中心の国において行われるようになり、母国から離れた地で戦死した兵士を長距離移送する際に利用されることで、広がりを見せた技術です。日本においては15~20年ほど前から、徐々にエンバーミングの認知度、実施率が高まってきました。

なお、亡くなった人を飛行機で移送する場合、航空会社の規定で「エンバーミングを実施済」が条件になっていることが一般的です。

エンバーミングの費用

エンバーミングの費用は、15~25万円が相場です。私が知る限りでは、最安値の葬儀社で12~13万円といったところです。

ただし、この費用にはエンバーミング施設までの搬送料金(往復分)や、業者が用意する衣装や棺代は一般的に含まれないため、それらの費用は別に考える必要があります。

また、事故などによる損傷の大きな部位の修復については、その状態により特殊技術料や修復に要する特殊用品代として5~10万円が別途必要になるケースもあります。通常は、こういった特殊技術・用品代が発生する場合には、家族に事前確認が行われます。

参考までに触れておきますが、葬儀社がエンバーミングとともに推奨することの多い「湯灌(ゆかん)」というサービスの相場は8~13万円程度です。したがって、エンバーミングは湯灌よりも割高であるといえます。

しかし、湯灌は訪問介護で使用されるようなバスタブで、故人の身体を洗い、洗髪や死化粧を行うもので、共通する部分もありますが、エンバーミングとは目的が大きく異なります。

エンバーミングのメリット・デメリット

エンバーミングを検討するときには、メリットとデメリットの両面を知っておくことが大事です。

メリット

常温で故人の安置ができる

特殊技術で防腐処理されることによって、ドライアイスや保冷庫を使用しなくても故人の安置が可能となります。とくに夏場の暑い時期や、亡くなってから火葬まで日数が長く空いてしまう場合には、腐敗防止のメリットは大きいものとなります。

また冷却されることで冷たく固くなった故人の身体は、残された家族をより悲しい気持ちにさせるものですが、常温で安置することは家族の心情面にもプラスの影響があります。

衛生面の安全確保ができる

遺体は何かしらのウイルスや雑菌が住みついている可能性があります。例え死亡診断書に記載されている死因がガンであっても、それ以外の病気に罹患していないという保証がされているわけではありません。

エンバーミングは遺体の内外を殺菌しますので、安心して故人に触れることもできますし、最後のお別れを行うことができます。

生前に近い姿でお別れできる

エンバーミングでは遺体修復も行われます。例えば長い入院生活で痩せこけてしまった故人の顔を、元気だった頃の様子に復元してもらうことができます。

デメリット

費用がかかる

オプション的なサービスとなりますので、前述した通り、それなりの費用が必要です。ただしドライアイスを数日間分使用する場合など、かえってエンバーミングを行った方が費用的に抑えられる場合もありますので、費用面については状況に応じた検討が必要でしょう。

遺体に手を加えることに抵抗を感じる人がいる

エンバーミングでは身体の一部を切開し、血液などの体液を排出し、防腐剤の注入が行なわれますので、このような処置を故人にして欲しくないというかたもいらっしゃいます。

エンバーミングの流れ

エンバーミングはどのような手順で進んでいくのでしょうか。業者や地域によって異なる部分もありますが、ここでは一般的なエンバーミングの流れを紹介いたします。エンバーミングの施術は、おおよそ3~4時間かけて行われます。

  1. 必要書類の提出
    エンバーミングを依頼するにあたり「エンバーミング依頼書(同意書)」と「死亡診断書(死体検案書)」が必要です。

  2. エンバーミング施設への移動
    故人を安置している場所からエンバーミング施設に搬送します。

  3. 洗浄と消毒
    身体の表面的な洗浄や消毒が行われます。

  4. 洗髪や洗顔など
    洗髪、洗顔、および保湿剤の塗布が行われます。遺族の希望や必要に応じて眉剃り、髭剃り、産毛剃りも行われます。

  5. 体内の洗浄および防腐処置
    身体の一部が切開され、血液などの体液を排出し、防腐剤が体内に注入されます。防腐剤を全身に循環させ、最終的には血液などの体液と防腐剤を、すべて入れ替えていきます。

  6. 消化器官や呼吸器官の残置物除去
    食道、胃、腸など消化器官、肺や気道など呼吸器官の残存物を除去します。

  7. 縫合、修復、洗浄
    体液排出および防腐剤注入のために切開したところを縫合し修復します。あわせて、顔や身体の損傷部分の修復もなされます。縫合と修復の後、再び身体全体の洗浄が行われます。

  8. 衣装の着つけ
    遺族が指定する衣装や、宗教宗派に応じた死装束が故人に着せられます。

  9. 死化粧、整髪、納棺
    遺族の希望により死化粧、整髪、納棺が行なわれます。納棺はエンバーミング施設ではなく、故人の安置場所に戻ってから行う場合もあります。

  10. 搬送
    故人をエンバーミング施設から安置先へ搬送します。

最後に

今回は、エンバーミングの意味、費用、流れなどについて解説しました。エンバーミングは遺体の保存、防腐、殺菌、修復を目的に行われる特殊技術です。とくに火葬までの日数が長期に渡って空いてしまう場合や、気温湿度の高い季節にはエンバーミングを前向きに検討するとよいのではないでしょうか。