家族が亡くなってからお通夜までは、ほとんど時間がありません。 しかし、お通夜までに用意しなくてはならないことは案外多いものです。今回は通夜が終わった後に行う通夜振る舞いの意味や、料理の選び方、準備する際に気をつけるポイントなどをご紹介します。
目次
通夜振る舞いとは?
通夜振る舞い(つやぶるまい)とは、通夜が終わったあとに、弔問客(ちょうもんきゃく)に向けてお酒や軽食をふるまい、おもてなしする場のことをいいます。
通夜振る舞いには、遺族から弔問客へお礼の意味があります。また、故人へのお清めや思い出を語り合って故人を偲び、故人とともにするこの世界での最後の食事という目的もあります。
また、世話役として葬儀をサポートしてくれるかたへは、別室で通夜振る舞いと同様の料理やお弁当を手の空いているかたから食べてもらいます。参列者が全員帰ったら、通夜振る舞いと同様に、お酒や食事をもてなしねぎらいます。
通夜振る舞いは必ず準備するべき?
通夜振る舞いは、仏事のひとつなので、大抵のお葬式では行います。ただし、近年では通夜振る舞い自体を省くケースも少なくありません。また、通夜振る舞いをするのは親族だけということもあります。
弔問客にお酒や折り詰め、あるいはギフト商品券やビール券などの粗供養品を持ち帰ってもらい、通夜振る舞いの代替品にすることもあります。
このように通夜振る舞いは自由な形式が増えています。地域の習わしがあるのであれば、それに従うとよいでしょう。そのため、通夜振る舞いの内容や参加者は事前に確認してみてください。
キリスト教ではプロテスタント、カトリックともに通夜振る舞いは取り立てて行いません。ただ、前夜式と呼ばれる牧師や近親者同士で茶菓や簡単な食卓を囲み、故人を偲んで思い出を語り合う茶話会などを行う場合もあります。
遺族側が準備することは?
これまで通夜振る舞いの基本的な情報をご紹介しましたが、ここからは実際に式を催すことになった場合、どのような準備をしておくべきかお話したいと思います。
どのような料理を用意すればいい?
通夜振る舞いを行う場合、従来は、精進料理で、肉や魚の使用は好まれていませんでしたが、最近では、祝い席によく使われる海老や鯛を避ければ、特にこだわる必要はありません。
また、弔問客の数が予想しづらく、また焼香をした後は比較的短い時間で帰宅するかたも多いため、一人前ずつの料理より、大勢で手軽に食べられる食事を用意する傾向があります。
寿司やサンドイッチなどつまみやすいものや、オードブルなどどの世代でも食べやすいものを大皿に盛ってもてなすことが一般的です。そのほかにも故人の好きだった料理や飲み物があれば、加えるとよいかもしれません。
また、死の穢れを清める意味合いから、ビールや日本酒などのお酒も準備します。また、車で来るかたやお子さまなどのためにジュースやお茶も準備しておくとよいでしょう。
予算としては、2,000~4,000円程度が相場といわれています。通夜振る舞いでその日の夕食をすませようと思っている人はいないので、たくさんお金をかけて豪勢にする必要はありません。出席されるかたの身分や年齢等も考慮したうえで選んでみてください。
どれくらいの量を準備する?
通夜の食事は、人数がわからないことが多いので大皿料理を用意することが多いです。また、料理の量は、会場の広さも考えて、会葬見込み者の50~70%分を目安にするとよいでしょう。お酒は、全員に行き届く程度の量で構いません。
通夜振る舞いは故人を偲ぶ場であり、たくさん食べたり飲んだりする場ではありませんし、少量だけ口にして帰る人や出席しない人もいます。もし不安なら親戚や葬儀社などにあらかじめ相談するといいでしょう。
手配先は?
料理は自分たちで手配してもいいですし、葬儀社に人数を伝えれば、通夜や告別式の料理を遺族に代わって手配してもらえます。
また、大きな仕出し屋に依頼すると、料理のほかにも食器が借りられたり、お手伝いさんを派遣してくれたりするところもあります。ニーズに合わせて選んでみてください。
遺族側が注意するべきポイントは?
通夜振る舞いでは弔問客へ足を運んでもらった感謝の気持ちと、故人と過ごした思い出を語る場になるため、宴会のように騒がしくならないように気を配りたいものです。
一般的に、通夜振る舞いの場において気を配ることは、葬儀や通夜のときに気をつけるマナーと変わりません。
通夜振る舞いは故人を偲ぶ場ですので、特別なことがなければ静かに進行します。
喪主は訪れてくれた弔問客への出迎えややお見送りにいそがしくしていることも多いので、前もって遺族や親族に、通夜振る舞いを取り仕切る役割を依頼しておくとよいでしょう。
通夜振る舞いを一任された人は、参加してくれた方一人ひとりにお酌と感謝を伝える挨拶をしてまわります。
ちなみに、通夜振る舞いの最初に挨拶とともに「献杯」が行われることが多くあります。ここで「乾杯」と言い間違えないよう注意しましょう。
通夜振る舞いは、およそ1~2時間程度で終了とするのが一般的です。頃合を見計らって、再度心を込めてお礼を述べつつ「お話はつきませんが、これをもちまして通夜振る舞いをお開きにさせていただきたいと思います。本日はいそがしいなかお集りいただき、誠にありがとうございました。」というような挨拶で閉会になります。
まとめ
通夜振る舞いについてご紹介しました。
葬儀の喪主を務めると、身内が亡くなったばかりで、悲しみのなかでも色々と準備しなければなりません。遺族は肉体的にも精神的にも疲れが溜まってしまうタイミングですので、体調を崩さないように気をつけたいところです。
食事については、今回ご紹介した料理の種類や量など、ポイントを押さえて自身で準備することも可能ですが、葬儀社や仕出し屋に頼んでもいいでしょう。故人の遺志とご遺族の都合を考慮したうえで、差し障りがない範囲で通夜を執り行いましょう。