故人が生前に使っていたものを整理することを遺品整理といいますが、単に残されたものの整理や処分というにはとどまらない部分があります。生前でも本人が認知症だったらどうでしょうか?ゴミのようなもののなかに現金や大切なものを隠しているかもしれません。ここでは、遺品整理の心構えから対象物まで詳しく解説します。
目次
亡くなってからでは遅すぎる!遺品整理の心構え
故人の思い出の整理は亡くなってからの部分です。しかし、貴重品の場所や銀行カードの暗証番号、相続に関する財産・負債に関することは、本人の生前に聞き確認しておきたいことです。先述した通り認知症だと被害妄想にかられ、一番身近な家族や訪問介護を利用している場合はヘルパーさんからお金や物を盗られたと言いだし、貴重品や現金を隠すことがあります。
遺品整理では乱暴なゴミ処分は厳禁です。ゴミの中から現金が新聞紙にくるまって出てきたり、冷蔵庫の食品パッケージの中に現金が隠してある場合もあるのです。極力本人から可能な限り話を聞いてあげ信頼関係を築き、貴重品を預かったり、銀行カードの暗証番号や貸金庫のカギなどの場所を聞いておくことが大切です。
遺品整理は誰が行うのか
相続人が行うのが基本ですが、同居していた相続人家族が行うのが通常でしょう。状況が一番わかっているからです。故人が単身生活をしていた場合は相続人のなかで話し合い、誰かに任せることになるでしょう。
多いケースは亡くなった親と長男家族が同居していて、長男とその配偶者である奥さんが遺品整理をする場合です。長男の母親が亡くなった場合に嫁姑の関係が反映し、お嫁さんとしての姑への憎悪が出て、整理作業の拒否をしたり業者の使用を希望したり、すべて廃棄処分にしてくれ、などの感情面での問題が出てくることも。
また、実際に遺品整理をする人はほかの相続人に対し「整理の労力を評価してくれるのか?」「無償ではやりたくない」などの気持ちが出てくることもあるでしょう。相続人間で話し合い、労力の程度と内容により、相続財産案分に日当計算で加算する、作業した人の欲しいものを優先して渡す、量が多い場合は業者を使い相続財産から費用として落とすなどの合意があるとよいでしょう。
遺品整理の時期
- 死亡手続きに関するもの、相続に関連するものは故人の死後すぐに行います。
- 住まいが賃貸物件の場合、退去の契約上の期限までに行います。
- 所有する自宅の場合は家族の都合で決めればよいのですが、節目としては四十九日の法要前後が適当でしょう。納骨をするので故人の物の整理の期限では適当です。ただしゴミの処分は時間がかかり、死後より随時行っていく方がよいでしょう。
遺品整理の対象物
死亡手続きに関するものや相続に関連するものは、故人の生前に現物を預かっておければ遺族は助かります。以下に、死亡手続きや相続手続きに関連するものをリストアップします。
死亡手続きに関連するもの
健康保険証、年金手帳その他年金資料
相続に関連するもの
- 銀行預貯金通帳
- 銀行印
- 銀行カード・暗証番号メモ
- 貸金庫の入室カード・暗証番号メモ・個別貸金庫の鍵
- 有価証券書類・株券
- 公社債・投資信託書類
- 生命保険・損害保険証書
- クレジットカードなど金融関係資料
- 不動産関係権利書登記資料、不動産賃貸借契約書
- 借金などの書類
- 連帯保証資料
- その他負担のある契約書類
- 未払い費用の請求書(関連で確認のため支払い済の領収書)
- その他の契約書類(公共料金、固定電話・携帯電話、NHKなど)
- 遺言書、エンディングノート
エンディングノートについては、法的拘束力はありませんが相続に関する意向や、家族へ伝えたいことが記載されている場合があります。
故人の思い出の品
故人が愛用していたもの、結婚指輪、写真アルバム、ビデオ映像など
貴金属、着物、美術品、骨董など
貴金属、宝石、高級時計、高級着物、高級カメラ、ブランド品、美術品、骨董など
廃棄対象品
故人が日常使用していた用品、衣類、家電、家具など多くが廃棄対象になります。
遺品整理の方法
自分で整理する場合は下記を参考にしてください。
- 死亡手続きや相続手続きに関連するものについては最初にひとまとめにしてバッグなどに入れます。
- 故人の思い出の品は、ダンボールを複数個用意し入れていきます。
- 貴金属、着物、美術品、骨董などもそれぞれ小物であればダンボールに入れ、大物はわかるようにしておきます。形見分けや売却可能と思われるものです。
上記以外はすべて廃棄対象となります。そこで次は、廃棄方法について詳しく解説します。
廃棄処分について
一般ごみの回収に合わせて分別し、ゴミの回収日に出します。かなりの量になりますので何回にも分けて随時出していくのが適当です。
家具などは粗大ごみとして地方自治体の規定に従って有償で出します。
家電は「家電リサイクル品目」に該当する、エアコン、冷蔵庫、テレビ、洗濯機などは、製品を購入した販売店や家電リサイクルセンターなどで有償で引き取ってもらいます。パソコンは各メーカーのリサイクル窓口か「パソコン3R推進協会」で引き取ってもらいます。ものにより有償となります。
業者に依頼する場合
業者に頼む場合は相見積もりを取り、具体的な内容を確認して行ってください。廃棄物処分の場合は廃棄物の量から、業者は人数、トラック台数、作業時間から見積もります。わかりにくいのは遺品整理自体から依頼する場合です。業者に必要なものの判別が可能なのか、遺族でしかできない作業は何か、などがはっきりしないと見積書の内容が具体的に検討しづらいと思います。
データ関係の削除
廃棄するものでは新しい分野でインターネット上のデータ関係があります。故人がやっていたネットショップでクレジットデータが登録されているものがあれば中止し、クレジットカード自体を解約する必要があります。またフェイスブックなどのSNSも中止しないとネット上では故人が生きたままになってしまい、万一乗っ取りの被害にあうと知人にも迷惑がかかる恐れがあります。パソコンのデータ消去とともに注意したいものです。